サイバーパンク都市の制作プロセス

人気作品「Cyberpunk City」の制作過程を公開。プロンプト設計から後処理まで、プロフェッショナルな仕上がりを実現するテクニックを詳しく解説します。初心者から上級者まで参考になる実践的な内容です。

🏙️ Cyberpunk City - 完成作品

プロジェクト概要

今回解説する「Cyberpunk City」は、近未来都市の夜景をテーマにしたサイバーパンク作品です。ネオンが煌めく摩天楼、雨に濡れた路面、そして漂う電子的な雰囲気を表現することを目標としました。

この作品の制作には約3日間を要し、30回以上のイテレーションを重ねて完成に至りました。AI画像生成ツールとしてMidjourneyとStable Diffusionを組み合わせ、後処理にPhotoshopを使用しています。

制作プロセス詳細

コンセプト設計

まず、作品の方向性を明確にするためのコンセプト設計から始めました。参考資料として「ブレードランナー」「攻殻機動隊」「サイバーパンク2077」などの作品から視覚的インスピレーションを収集。

特に重視したのは以下の要素です:

  • 垂直性を強調した都市構造
  • ネオンサインの配色(青・ピンク・紫系)
  • 雨や霧による湿潤感
  • 技術と退廃の対比

初期プロンプト作成

コンセプトを基に、最初のプロンプトを作成しました。この段階では大まかな構図と雰囲気の確立を目指します。

cyberpunk city at night, neon lights, 
rain-soaked streets, towering skyscrapers, 
futuristic architecture, moody atmosphere, 
cinematic lighting, detailed, 8k

このプロンプトで生成された初期結果は方向性として良好でしたが、細部の調整が必要でした。

プロンプト最適化

初期結果を分析し、より具体的で効果的なプロンプトに改良しました。特に以下の点を強化:

  • カメラアングルの指定
  • ライティングの詳細化
  • 色調の具体的指示
  • 質感の表現
wide-angle view of cyberpunk megacity, 
bird's eye perspective, countless neon signs 
in electric blue and hot pink, 
reflective wet asphalt streets, 
towering glass and steel buildings, 
atmospheric fog, volumetric lighting, 
hyperrealistic, ultra-detailed, 
professional photography style

構図の調整

複数のアングルを試し、最も効果的な構図を選択しました。俯瞰視点により都市の巨大さを表現し、前景に街路を配置することで奥行き感を演出。

この段階で重要だったのは「視線の流れ」です。観る人の目が自然に画面全体を巡るよう、ネオンサインの配置と建物の配列を意識しました。

色彩設計

サイバーパンクの代表的な色調である「ブルー&ピンク」を基調としながら、単調にならないよう色のバランスを調整。

「色彩設計では、60%をクールトーン(青系)、30%をウォームトーン(ピンク・紫系)、10%をアクセントカラー(緑・オレンジ)の比率で配分しました。」

細部の調整

基本構図が決まった後、細部の調整に入りました。この段階では以下の要素を重点的に改善:

  • ネオンサインの文字の鮮明化
  • 建物の質感向上
  • 光の反射効果の強化
  • 大気の表現(霧・スモッグ)の調整

特にネオンサインについては、日本語と英語の看板を適切に配置し、リアリティを高めました。

後処理・仕上げ

AI生成画像をPhotoshopに取り込み、最終的な仕上げを行いました。主な作業内容:

  • カラーグレーディングによる色調統一
  • シャープネス調整
  • ノイズ除去
  • コントラスト最適化
  • 細部のレタッチ

特に重要だったのは、AI生成時に生じた不自然な部分の修正です。建物の構造的矛盾や、光源の整合性などを手動で調整しました。

技術的ポイント

プロンプトエンジニアリングのコツ

効果的なプロンプト作成において重要なのは、「具体性」と「優先順位」です。今回の制作で学んだポイントをご紹介します。

💡 プロンプト最適化のビフォー・アフター

1. レイヤード描写法

画面を前景・中景・後景に分けて記述することで、奥行きのある構図を実現:

// 前景:街路レベル
wet asphalt streets, reflective surfaces, 
street-level neon signs

// 中景:建物群
towering skyscrapers, glass facades, 
architectural details

// 後景:空と遠景
atmospheric haze, distant city lights, 
night sky

2. ライティング指定

光源を明確に指定することで、より説得力のある照明効果を得られます:

色彩理論の応用

サイバーパンクの色調設計では、補色関係を効果的に活用しています。青とオレンジ、紫とイエローなどの対比により、視覚的なインパクトを強化。

「色彩設計において最も重要なのは、全体の調和を保ちながら、要所で強いアクセントを効かせることです。サイバーパンクでは特に、クールトーンを基調としつつ、戦略的にウォームトーンを配置することで、温度感のコントラストを生み出します。」

制作中の課題と解決策

課題1:建物の構造的整合性

AI生成では、物理的に不可能な建築構造が生成されることがあります。これを解決するため:

課題2:ネオンサインの文字品質

AI生成された文字は判読困難な場合が多いため、以下の対策を実施:

課題3:光の物理的整合性

複数の光源がある場合、影の方向や強度に矛盾が生じることがあります。解決方法:

使用ツールと設定

Midjourney設定

主要な生成ツールとして使用。最適な設定値:

Stable Diffusion設定

細部調整用として併用:

Photoshop後処理

最終調整で使用したテクニック:

制作時間とコスト

工程 時間 コスト
コンセプト設計 2時間 ¥0
AI生成(30回) 4時間 ¥600
後処理・仕上げ 6時間 ¥0
合計 12時間 ¥600

学んだこと・今後の改善点

成功要因

改善点

まとめ

「Cyberpunk City」の制作を通じて、AI画像生成における体系的なアプローチの重要性を再確認しました。単純にプロンプトを入力するだけでなく、アート制作における従来の工程(コンセプト設計、構図検討、色彩設計、仕上げ)を丁寧に行うことで、プロフェッショナルレベルの作品を制作できます。

特に重要なのは、AI生成を「完成品」ではなく「素材」として捉え、人間のクリエイティブな判断と技術的スキルを組み合わせることです。この作品の制作過程が、同様のプロジェクトに取り組む方々の参考になれば幸いです。

次回は、このサイバーパンク都市をベースにした動画制作プロセスについて解説予定です。AI画像生成とモーショングラフィックスの組み合わせにご期待ください。

関連タグ

この記事をシェア